昨年、自民党から民主党に政権交代して、今後の日本はどうなるのか?について、国民全体の感心は高まっている。しかし、実際は、戦後、驚異的な経済成長を遂げ、1980年代に世界の市場を日本製品が席巻したといった状況ではなくなっている。特に、中国、ロシアといったかつての社会主義諸国が、経済競争に参加してからは、日本は確実に存在感を薄めている。中国の富裕層の多さは、正確な数字は発表されていないが、かなりの数であると言われていて、アメリカや欧州のターゲットは、既に日本ではなく、中国市場なのである。そして、ジャパンバッシングと叩かれた頃がむしろ懐かしく、今は、ジャパンパッシングと皮肉られる。
そうした中で、世界で戦える分野を考えてみたいと思いま~す。o(^▽^)o
産業の国際比較において、欧州や米国との国家「新産業創造戦略」(経済産業省平成16年発表)に引き続き、「新経済成長戦略」(同平成20年発表)に、サービスロボットの分野を取り上げており、国を挙げての重点分野である。重点分野になった理由としては、日本だけでなく先進諸国の高齢化しており、さらに、アジアにおいても、中国の一人っ子政策などにより、2030年以降は高齢化が進むことが考えられる。また、日本は、欧州や米国と比べても、ロボットは十分にグローバルで戦える分野である。
日本では、少子高齢化が急速に進んでおり、2050年、65歳以上人口が、57.2%へと市場として需要が見込める。①労働人口の減少は既定路線である。②サービスロボットにより、人間が行う部分を代替することが可能になれば、労働人口の減少を補うことができる。③介護士は慢性的に不足しており、今後もその傾向が強まる。等、の期待が持てる。
では、ロボットの現在の各国の状況はどうだろう?
(日本)
日本は、ロボットの知能化やコミュニケーション技術に関するナショナルプロジェクトが数多くあり、それなりの研究成果が出ているほか、ロボットの技術開発力においても高い技術力がある。しかしながら、軍関係で多額の予算が投入されている米国や、大型国家プロジェクトが実施されている韓国と比較して、制度上の問題もあって実証試験から実用化まで、ロボットの研究・開発が迅速かつスムーズに行われているとは言いがたく、応用面でのブレークスルーが待たれるとしている。
(米国)
米国は基礎研究や理論研究で優れた研究成果が多くの分野で見られるなど、非常に高い研究水準を維持するとしているが、特にBMI(Brain Machine Interface)、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)、人工筋肉などの新しいアクチュエータでは、圧倒的優位性を保っているとしている。米国は、全米航空宇宙局(NASA)主導の宇宙開発関連の研究以外に、国防総省高等研究計画局(DARPA)のグランドチャレンジやアーバンチャレンジ、FCS(Future Combat System)などの軍関係のシステム開発を目的とした研究・開発に巨額の予算が投入されていることで、直接的、間接的に非産業用ロボット分野での産業競争力が強化されている。
(欧州)
欧州では、ロボットに関する多数の意欲的なプロジェクト、特にバイオロボティクス、医療、福祉関係で非常に先端的な研究を行っている。特に、イタリア、ドイツ、フランスなどでは、ロボティクス関係の研究開発が活発に行われるとともに、イタリアでは、ベンチャービジネスが、そしてドイツでは研究機関の成果が産業技術力の向上に結びつつある他、EU内のプロジェクトに欧州の産業界も積極的に参加し、次世代ロボットの研究開発を行っているとしている。
(韓国)
韓国では、ロボットに関する複数かつ大型のプロジェクトが進行中で、ネットワーク端末としてのサービスロボットが開発され、一般家庭を対象とした大規模なフィールドテストや、空港や駅、郵便局などでも長期実証試験を行うなど、次世代ロボットの研究開発が国主導で円滑に進められている。また、知能化技術の応用に関しては積極的に産業界と連携が行われる事で、サービスロボットの製品化とスピードに関して制度面で導入が遅れている日本を追い抜く可能性もある。
出所:サービスロボット普及に向けた社会環境整備に関わる調査
2009.3 財団法人機会振興協会 社団法人 日本ロボット工業会
現在、日本は、ロボット関連技術において、主要各国との比較においても、高い水準であると言われている。しかし、米国の軍事予算での取組みを始め、欧州や韓国なども本格的な取組みをしており、日本が国際競争においてリードできるかどうかは、今後も取組み次第である。
しかし、確実に労働人口が減っていくことを考えると、人口が減った分を補う方法の一つとして生産性の向上がある。産業革命は、それまで、人の手でやっていた作業を、工業化することにより、何十倍にも拡大させた。その中で、工場では既に産業ロボットが活躍しているが、サービスの現場でも可能性は十分だ。既に、先に高齢化をむかえた欧州だけでなく、アフリカや中近東など、人口ば増えるところがある半面、ヨーロッパ、アジアは、高齢化社会を乗り越えなくてはならない。
つまり、マーケットは世界規模である。生産性を何十倍、何百倍にする知恵を日本人は持っていると信じたい。
民主党のマニフェストの、子供手当など、少子化を食い止める政策は賛否両論があるものの、なんらかの手を打たざるを得ないのは間違いがない。もう一方、労働人口が減ったとしても、生産性を上げる!あるいは、かつての自動車や電気製品のように、外貨を獲得できるものを同時に力を入れる必要がある。
明日は、具体的に頑張っているロボットを作っている企業を、紹介したいと思いま~す。(≡^∇^≡)