以前、某魚卸会社にお伺いした際、「昨今、消費者の魚離れが進み、魚の総需要は年々落ち込んでいる。理由としては、食べる際、骨を取りながら食べるのが面倒であるとか、骨や頭にあたるところがゴミになること」とおっしゃっていた。確かに、女性の社会進出などが進み、あまり手間がかかる料理は好まれなくなっているのだろう。そのため、全国の魚市場もその影響を受けていて徐々に業績を落としているところが多い。
また、昨年8月に株式会社アビー 大和田社長のところにお伺いした際、おっしゃっていたことは、「最近の女性は、包丁ももっていない。そのために、簡便化嗜好が高い。野菜をそのままではなく、半加工か、加工しないとなかなか売れない」とのことであった。
今、商品やサービス単体ではなかなか収益が上がらなくなっている。例えば、大リーガーのイチローが活躍するシアトルの魚市場では、「世界一有名な魚市場」を達成し「WORLD PEACE」を目指すといったビジョンで、大きなブームになり、全世界からお客様が訪れた。15名の従業員が、自分たちも楽しみ、かつ人を楽しませ、相手に向き合い、態度を選ぶといったFish哲学に基づき、魚のキャッチボールを自分たちがしたり、お客様を参加させたりと、とにかく面白い。
日本でも、最も視察が多いスーパーは、九州のハローディーである。多くのスーパーが同じようなレイアウトで面白みがない中、従業員が様々な工夫をしていて、その工夫がまた、お客様にも喜ばれている。
アメリカに行って、日本との比較の中で感じることは、とにかくエンターテーメント性の違いである。ベースボールやアメリカンフットボールを観戦にいっても、大きな大画面でさまざまな観客の光景が映し出され、キャラクターが飛び回り、ジャークの利いた音楽が流れたりととにかく楽しい。日本も格闘技など、エンターテーメント性が導入されてきたと思うが、全体的にはこれからである。
サービス経済、経験経済が進む中、概念だけに終わらせず、もっと楽しみの空間が増えたらと思う。しかし、新潟の市場で食べたトロ定食は絶品でした。市場に勤めることが3分の2、お客様の3分の1位が観光客のような感じであったが、エンターテーメントの要素を加えた市場になれば、話題性も高くなりお客様の増え、魚を食べたいと思う方も増えるのではないか。市場に限らず、もっと楽しい場が多くなればと思ま~す。
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