昨日に引き続き、温泉の再生について、考えてみたいと思いま~す。o(^▽^)o
温泉旅館が苦しくなったのは、経済学的に言えば、温泉ブームに乗ってドンドン開発が進んだために、全国に温泉が多く建築され過ぎて、供給過多になってしまったためだ。利用する人が少なくて、利用できる施設が多ければ苦しくなるのは当然で、お客様から選ばれるところと選ばれないところが二極化することになる。
昨日、ブログに書いた鬼怒川温泉を少し散歩してみると、本当に、使われていない空家の旅館やホテルが点在する。おそらく温泉ブームの際、「お客様をお断りすることがもったいない」といった発想で大きな器を用意したのだと思うが、甘い需要予測の上であったということは容易に理解できる。最終的には、経営者の判断ミスだが、金融機関のバブル期における提案の影響も大きかったのだろう。
いずれにしても、そんな中でも勝ち残らなければならない。
勝ち組で有名で、顧客満足が高いことで有名な旅館と言えば、石川県和倉温泉の加賀屋だ。プロが選ぶ旅館100選にも30年トップに選らばれ続けるのは、驚異的である。実は、私が26年前就職してはじめての勤務地が金沢だったが、加賀屋へもよくセールスに通った覚えがある。今思えば、ことサービスで言えばこちらの方が教えてもらうことが多いような気がするが、その当時はそんなこともお構いなしで、提案のオファーがあったサービスマニュアルなどの提案をしたことが懐かしい。
さて、どこが他の旅館と違うかと言えば、小野会長の「おもてなしは、笑顔で気働き」といった考え方に基づき、お客様のご要望をいち早く察知し、お客様の立場でサービスするといったことが徹底している点だ。
具体的には、体系化されたアンケートの仕組みがあり、定期的に責任者会議でフィードバックされ対策が検討され、更に、それぞれの職場で全員により検討がなされる。例えば、料理の量も、高齢化に伴い、単に多ければ満足ではなく、適量が好まれるアンケートが多いがどうするか?といったことを真剣に検討する。
教育も充実していて、加賀屋ビジネススクールといった外部講師による勉強会があったり、海外も含め他の宿泊施設に実際に行き体験する。
その他、モニタリングも兼ねて、主要都市にレストランを運営し、大都市のお客様の味覚情報を収集する。
ホテル・旅館では第1号であるISOへの取り組みを行う。古くなったからではなく、意図的にリニューアルを行い、リピート客を飽きさせない。ノウハウの体系化のために、他の旅館経営のコンサルティングを行う。等々、最近、台湾でも昨年12月18日オープンし、時代の流れを考えて、本当に、あの手この手だ。
又、加賀屋だけが良くなっても、満足度は高まらないといった考え方で、和倉温泉、七尾市全体の活性化に取り組んでいる。実は、冒頭に書いた2極化している勝ち組の旅館の特徴は、温泉街全体で取り組んでいる点である。九州の湯布院、黒川温泉などは、その代表的な温泉街全体の成功例だ。
研修会場の旅館の女将さんが「温泉街の中で、どうしてもお客様の取り合いになってしまんですよね。そうすると、結局、全体が良くならないんですよ・・」としみじみ話していたが、まさにそうだと思う。
実際は、余裕が無くなると、業績を維持するための短期の利益に走ることになり易いけど、じっと我慢が大切で、同じ地域の他の旅館を競争相手と見る(競争戦略)のではなく、味方と見る(協調戦略)いった考え方が重要になる。☆-( ^-゚)v
当然、同地域にある温泉旅館とは、利害関係はあるのだろうけど、そうした利害を越えて、遠くから来てくれたお客様に、地域全体としてどのような体験・経験をしていただくかといった視野から考えて、取り組むかが、結局、自分のところの旅館の満足度を相乗効果で良くしていくことになる。(=⌒▽⌒=)
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