営業とマーケティングの違いについて、様々な区分けがされている。しかし、最近、こうした区分けをすること自体が、あまり意味がなくなってきていると感じる。実際にお客様のところにお伺いしても、或いは、ビジネス雑誌を読んでも、営業とマーケティングを統合することの重要性が増していることを実感する。ということで、営業とマーケティングの統合について、考えてみたいと思いま~す。o(^▽^)o
まず、違いについて整理している有名な区分けとして、わかりやすいには下記の2つだろう。
セリング(営業)は「基本的に今日の糧を稼ぐためにアクション中心に顧客に売り込むこと」にその本質が求められ、これに対しマーケティングの本質的役割は「明日の糧を求めて創造的・分析的に成長の仕組みを構築・実行すること」ととらえられる。(by 慶大大学院名誉教授 法政大学院教授 嶋口教授)
マーケティングとは、セリング(営業)を0にすること。 (by P・F、ドラッカー)
営業については、一匹狼の営業が限界になり、チーム営業へ変わってきている。そして、感覚的な営業だけでなく、営業のプロセスを可視化してマネジメントするプロセスマネジメントが重視されてきている。
野球で言えば、昔の個人色が強い状況から、チーム戦に変わってきている。ピッチャーも、完投型から継投で複数が投げることが当たり前になった。さらに広岡や野村が監督をし出してから加速したと思うが、データ野球に変わってきているのと似ている。( ゜∋゜)
もう、昔みたいな少数のスーパーセールスは、生まれづらくなっている。チーム営業が中心になると、自分で、経験から学習する機会が無くなっているし、個人での工夫では限界があるからだ。
では、マーケティングの分野はどうであろうか?マーケティングといっても、様々な手法があるが、一部、ネットマーケティングといった分野や、バイヤーなど、カリスマ的なマーケッッターはいる。しかし、やがて、そのノウハウは可視化されてくると、営業と同様な状況になってくるだろう。
もう、5年位前になるが、営業とマーケティングの統合では、Panasonicが、白物と情報家電の製品群に分け、企画~営業までを統括するマーケティング本部を設置したのは有名だ。各事業部にあった営業部門と営業本部さらに宣伝事業部を集約し、マーケティング本部の名の元に機能を一括することで販売コストをおさえ、且つその浮いたお金で、マーケティング費用で店頭での販売増を実現した。
Panasonicの例は、組織構造も含めた大きな話であるが、大小かかわらず分けて考えることの効果性は低い。もちろん、営業の形態にもよるけれど、マーケティングの一貫として営業の情報収集と情報提供機能があると思うけど「営業は営業、マーケはマーケ」と別々で、互いに情報交換もされていないケースも多い。
私も営業を長年経験しているので、この点に関しては実感している。最初は、全くわけがわからずに一生懸命お客様のところへ廻っていたが、3年位経ったとき「こんなバカなことをやっていたら全然売上が上がらない」と感じていた。
それで、マーケティングの勉強をしていたわけではないけど、売れるために事務所や喫茶店で、今でいうセールスレターを作ったりと工夫するようになってから、多少、売上があがるようになった。しかし、今は、私が個人で工夫していたレベルでは、とても成果は上がらないだろう。
私が営業していたときと異なり、市場の成熟化、情報技術の発達、その他の変化を考えると、営業とマーケティングを区分けして考えるのは現実的ではない。そして、<営業部門とマーケティング部門が連動なんてことではなく、最初から一緒!にしてしまった方が分かりやすいと思う。
野球と一緒で、相手のレベルが上がり、データを駆使することができるようになったと一緒で、トータルでお客様からの情報収集、情報提供、リレーションの確立を考えることが重要だ。このようなことは、多くの企業でも分かっていることだと思うけど、実際にうまく移行できている企業は、組織問題その他があって少ないと思います。(=⌒▽⌒=)
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