2月11日(日本時間では、2月12日未明)エジプトのムバラク大統領が、遂に辞任した。中東の民主化が進む契機になる歴史的な出来事である。
エジプト情勢や今回の一連の動向について、正確に語れる程の知見は私にはないが、一市民として情報化による変化を感じる大きな出来事である。
私と同様に、今回のエジプトのムバラク大統領に関する様々な報道において、ソーシャルメディア(ツイッター、Face Book等)が大きな影響を実感した人も多いのではないだろうか。流血ではなく、デモといった平和的な方法で歴史が動いたことになるが、一人の国民のFace Bookへの投稿から始まったデモは、ソーシャルメディアや、エジプトに普及している携帯電話のメールの即時性・簡便性が大きな役割を果たしたと言われている。
情報は、大きなパワーを生みだす。私自身が、日本の農家 株式会社 で、農業の会社で、農業と消費者を繋ぐ取組みをしていて実感するのは、農家と小売店や消費者との情報格差である。小売りの現場が、POSその他を駆使して顧客情報の分析に取組むなどの情報戦になっており、消費者もインターネットにアクセスして、買い物をする際の参考にしていることが日常的になっている中、農業生産現場での農産物の取引は、いまだにFAXや電話で行われているところもまだまだ多い。農家は、私たちが小売店で購入する野菜の価格の15%~20%が農協ルートで得る出荷額であり、小売店舗など情報化されているところの方が取り分が多い。農産物の場合、他の商品と異なり劣化するといった特質があるが、各関係者の取分と情報化とは、決して無関係ではないだろう。
政治も経営も本質的は、共通することも多い。かつては、一部の上位階層の人間だけが情報を持っていたことで統制することが可能になっていた。インターネットが発達する前は、情報に対するアクセスコストが高かったが、今は、一個人が組織、地域、時間を越えて多くの情報を簡単に手にすることができるようになった。各国の国営放送が、多少政権よりになっている場合も見受けられるが、ソーシャルメディアは、そうした制約はあまりない。
まさに、30年前に、未来学者アルビントフラーが提唱してパワーシフトが身近なものになっている。情報化が進んで今日、組織や国をまとめていくのに、情報による統制はかつてような力を無くしている。そして、ネット上では、リアルのFACE to FACEで起きうる対人関係上の抑制も利きにくく、あっという間に大きなうねりになりやすい。国だけでなく、会社といった一組織でも、パワーシフトは起き、隣の組織の状況も、会社に統制されることもなく、比較的用意に情報収集が可能になった。
ソーシャルメディアの活用が、もはや当たり前になり、国や組織も、ソーシャルメディアによる情報が直ぐに伝わることを前提にマネジメントしていくことの必要になった。改めてそうした歴史の流れを実感した歴史的出来事だったと思う。
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第三の波。(国民)消費者の時代!
投稿情報: Yusukeshinobe | 2011年2 月15日 (火曜日) 10時01分