国際ニュースを見ると、イラクに駐留する米軍がいまだ5万人もいて、昨年、60人、今年2人の米兵の死亡が報道されている。
http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2781127/6618356
その他の戦争・紛争・事件のページを見ると、相変わらず、こんなに多くのテロが発生しているのか?と新年早々複雑な気持ちになる。
丁度、1年前、オバマ大統領がアフガンへの兵士増員にはビックリし、石油メジャーや穀物メジャーが実際の政治を動かしているのか?と・・ついつい考えてしまったことを思い出した。
第二次世界大戦前は、直接の植民地支配を行ってきた。しかし、軍事力による植民地支配が難しくなると、経済支配による植民地支配に形を変えていっている。多国籍企業は、世界の経済的分業を大義として、発展途上国へ進出した。その後、農業の工業化を進めることになる。工業化が進めば、一見生産性が良くなり発展途上国の発展に寄与しているように感じられる。
しかし、実態は、いいことばかりではない。経済の分業化は、1国のモノカルチャー(単一農作)により、トウモロコシであれば、トウモロコシしか作らなくなる。当然、現地の人もトウモロコシばかりを食べてはいられてない。つまり、その他の食品は、輸入しなくてはならなくなり、結果的に物価は上昇する。また、機械化や農薬による農業の生産性が上がると、10人でやっていた仕事が1人で足りるようになる。すると、9人は失業する。多国籍企業は、農業機械や農薬を売って、さらに、儲ける。
失業するとどうなるか?
①以前よりは少なくなったが、ボートピープルとして他国へ逃げ出す。
②反政府勢力となってテロを行う。
③餓死する。
実際、世界の人口は60億以上と膨れ上がっているが、食物は、農業の生産性が向上したことにより、むしろ余っていて、捨てられているのが現実である。先進国に生まれた人は、そうした発展途上国の現状を見て、国際支援が必要だという。しかし、その国際支援(ODA等)の在り方が、また問題だ。結局は、多国籍企業が行うことと同じようなことを行っているのである。
また、多国籍企業だけでなく、発展途上国の政府幹部との利害が一致している。国を治め、自分たちの地位を安定させるために、多国籍企業や先進国と、自国の経済発展を大義として、農業の工業化や先進国の大手製造業を誘致を行う。こうしたことが、巡り巡ってこの記事にあるような自爆テロが繰り返される構図になっている。
さらに、私達消費者、生活者も考えなくてはならない。東京には、世界中の料理が集まり、美味しいものを探索し、より、リーズナブルな価格で買おうとする。リーズナブルな価格で買おうとすれば、国際分業された発展途上国で生産されたものが安い。現在、食品スーパーに行くと、食品表示義務が強化されたこともあり、こんなところで生産されているのか?と驚くようなところで採れた食べ物がところ狭しと並んでいる。
食品スーパー同士も競争だ。1円でも他店より安く売ることにより、生産者から生産コストも出ないような価格で仕入れ、そして、売れないと廃棄していく。ちなみに、セブンイレブンだけで、年間1200億が廃棄されている。コンビニ全体、食品スーパーなども含めるとどの位になるだろうか?
私達消費者、生活者は、以上のようなことに対して、罪の意識が無いのが現実ではないだろうか?
昨年、オバマ大統領は、武力をもってテロを撲滅すると演説していたが、以上のような根本原因が解決されないと、現実は変わらないのではないか?と感じたし、実際に未だに冒頭にあるようなニュースが流れるのが現状だ。
評論家的なことを言っていても仕方がない。利益だけを追求するような企業の商品は買わないようにするといった行動もでくる。過大広告ではないか?とおせちのことがネット上でもTVでも取り上げられたが、不買だけでなく、ソーシャルメディアによって、一人の声が大きな力を持てるようになっている。基本的には、発展途上国の人たちが自立することが、根本原因の解決に繋がる。私の友人が立ち上げた日本で初めてのNPOリビング・インピースは、マイクロファイナンスを通して、こうした現状を変えようとしている。
2011年の年初め、消費者、生活者、企業、国が、新しい世界観に変えていく年になればいいと、改めて思いました。(=⌒▽⌒=)
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